Fp. avichang概要

初めての投稿は先日KCJ会誌に書いた内容にしてみますか。

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うちのはGEML 00/16 Nguba II

Fp. avichangは2001年に種として記述された割合新しいFp.です。原著はインターネット上で閲覧することが出来ます。必要そうなところだけざっとした読むと、赤道ギニアの低地で採取されており、もうちょっと詳細に言うとEcucu川沿いにある水深30cmほどの水たまり~池です。基本的に流れはほとんどない様なところです。時として結構川から離れた場所に生息していることもあり、生息地が干上がることもあるようです。他のFp.と異なり、4cmぐらいとかなり小さいことが特徴になっており、現地で話されるファン語の「小さい」にちなんでavichangと名付けられました(…と書いてありますが、ファン語-フランス語辞書を見てもよく分かりませんでした)。

Fp. avichang
飼育環境

飼育法はSEKにも記事がありますが、我が家なりのコメントを加えつつ、以下に述べていきます。採取地の近くにあるBata国際空港の気候を調べると、一年を通して25-31℃ぐらいの模様です。それより内陸で、森の中ですから、それより涼しいものと考えて良いと思います。実際論文でも平均気温25.4℃で、温度変化は少ないとあります。採取されたところの水温も22-26℃だったそうです。なので、23-25℃ぐらいがベストと思われます。我が家では21℃に落としてしまうと、元気ですが、餌を食べる量が減り(痩せたりはしない)、産卵数が落ちます。25℃以上に上げたことはありませんが、少なくとも長期間は好ましくないでしょう。水質は他のAphyosemion属と一緒ですが、特に問題ありません。ピート(別にモモタマナの葉でもヤシャブシの実でもいいです)でやや色が付いているぐらいの水を使えば、問題ないです。水質汚染に対しては、他のFp.とは異なり、かなり敏感です。当初は30cm水槽で飼育していたのですが、それより3Lプラケ(止水)で飼育して、週1で90%水換えをしている方が調子いいので、そっちに切り替えました。じゃんじゃん水換えするのが吉です。餌は冷凍赤虫しか与えていません。あ、それと、結構飛び出します。水換えでプラケを運んだりすると、びっくりして飛び出してくるぐらいなので、蓋は必須です。

飼育環境
飼育環境

採卵法は、基本的に1ペアを前述の3Lプラケに入れ、モップ採卵をしています。産卵する場所は高いところから低いところまでどこでも産みますが、下の方が好みのことが多いです。なので、モップにはフロートを付けず、底に沈めていれば良いです。少なくとも我が家では攻撃性は高くありませんので、よっぽどサイズ差がなければ問題なく採卵できるでしょう。卵のサイズは1.5mmぐらいとなかなか大きいですので、探すのが大変ということもないです。親が良いサイズであっても、産卵を始めた頃は無精卵が多いので、最初はそんなもんだと諦めてください。そのうち、良い卵を産み始めます。基本的に多産の種類のようで(個人の感想かもしれません)、peakでは一週間に20-30個ぐらい卵を産みます。それが半年~1年ぐらい続き、徐々に産卵数が減っていきますが、大体の場合、死亡する直前まで産んでいます(最後は週に数個ぐらいになりますが)。温度変化を付けたりする必要はなく、一定の温度で問題なく産卵します。

モップから取った卵は、ピートの上に並べ、水上保管を開始します。最初の2週間で、無精卵はかびたり白くなったりするので、取り除きます。その後は、水中保管に切り替えます。大体1-2週に一回ぐらい換水しながら、様子をうかがいます。論文には、温度次第ですが、孵化までは3-6ヶ月かかるとあります。いつものAKAの説明を読むと、普通は25℃、4-6週間で孵化するとあります。SEKの記事には、22-24℃だと6-7ヶ月、25-30℃だと1ヶ月とあります。結構バラバラの記述ですが、我が家では23℃ぐらいで半年ぐらいです。ただ、最初の1-2ヶ月ぐらいでほんの少しだけ稚魚が出ます。残りがまとめて浮くのは半年後になります。多分環境変化に対応するために、せっかちな奴らが少し混じっているのではないかな、と考えています。Dさんには「発眼がばらつくから、水上保管し、眼が出てきたものを選別して、水に漬けろ」と言われたので、ピート水を浸したキッチンペーパーの上に時系列に沿って碁盤状に並べて管理していましたが、我が家ではうまくいきませんでした。

生まれた稚魚は割と大きく、最初からブラインを食べることが出来ます。Fp.らしく貪欲ですが、水質悪化に弱いのは親と一緒ですから、水換えは親と同様のペースで行った方がいいでしょう。SEKは、毎日2/3を交換って書いてありますが、そこまでじゃなくて大丈夫です。注意しなければいけないことは、サイズ差があれば飼育容器を分けること。面倒だからと言って、違う日に生まれた稚魚を混ぜると、後から生まれた稚魚はそのうち死にます。餌の競走に負け、更にいじめられ…という状況みたいです。性比は大体メスに偏り、オス40%メス60%とありますが、我が家では20-30%80-70%ぐらいです。1cmぐらいの時からオスにはオレンジが載ってきますから、心配な人は隔離して大事に飼育してあげてください。

以上になります。年魚でもなければ、非年魚でもない微妙なポジションで、コツが少々ありますが、totalとしての難易度自体は高くないと思います。

・・・とか書いていましたが、現在は我が家におりません。3世代目ぐらいから継代するのが難しくなり、絶やしてしまいました。要はメジャーじゃないということはなんか癖があるってことなんだよね。